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紙袋のおはなし

こんにちは。神奈川県大和市の印刷・企画・デザインならおまかせのアドタックです。

 

実家からは時折、一体いつの!?というものが出てきます。

先日、母が帰り際に持たせてくれたお土産の紙袋がそうでした。

こちらが実家から出てきた伊勢丹の紙袋(写真1左)

(写真1)

 

伊勢丹の紙袋といえばタータンチェック柄(写真1右)ですが、その面影は皆無。

しかも見たことのない伊勢丹のロゴマーク。

これ絶対に古いよね、と調べたところこちらは1976年~1986年まで使われていたCIロゴ(※)だそうで、

紙袋も同時代のものと推察。

どういった形で使われていたかは分かりませんでしたが、企業がCI戦略に取り組んだ証と言えそうです。

そしてなにより、35年前の紙袋を保管してあった実家に驚愕。

 

ちなみに1958年から使用されてきたタータンチェック柄の紙袋(写真2右)は

2013年に55年ぶりにリニューアル(写真2左)。

カラーは変わったものの伊勢丹のアイデンティティであるチェックは継続されています。

大きく違うのは「ISETAN」のロゴが入っていないことで、チェック=伊勢丹と分かるという自信の表れでしょうか。

そのためか二次使用するために保存する人も多いとか。

捨てられがちな紙袋を二次使用出来るデザインにしたお客様への配慮と購入時だけでなく

二次使用時にも企業アピールする(出来る)戦略はさすがです。

(写真2)

 

※CIはコーポレート・アイデンティティの略で、「企業の特性を、統一されたビジュアルやメッセージで

内外に発信し、共有してもらうことで、企業的価値を高めること」を指す。

よってCIロゴは企業の考えや行動指針などを社内外に明確に伝達するための優れたツールだった。

 

さて、もう1つ出てきたのがこちら。

(写真3)

 

(写真4)

 

三越の紙袋(写真3)。

こちらは1957年から2014年まで使用されてきました。

三越は1904年に「デパートメント・ストア宣言」を行って110周年目の節目に「あらためて未来へと向かう」を

コンセプトに「伝統と革新の先で実る自由のシンボル」としてリニューアルしました。(写真4)

人間国宝である森口邦彦氏がデザインしたもので赤と黒の幾何学模様は、たわわに実るリンゴを表現。

こちらの紙袋も伊勢丹と同じくロゴは主張せず極小サイズでいれられています。

2008年に伊勢丹と合併し三越伊勢丹ホールディングスとなっている今、

そういったところでも企業の意思統合がされているのかもしれません。

ちなみに、2つの紙袋は2014年グッドデザイン賞を受賞しています。

 

今回たった2つの紙袋ですが、その変遷やデザインのもつ意味を調べていくだけで、

ものの見方が変わる気がします。

身の回りに溢れているデザインを、すこし深掘りしてみると新たな発見があるかもしれませんよ。

 

〈Y.M〉