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写植の時代といまの組版、なにが違う?

こんにちは。アドタックです。

いまやPCひとつで簡単に文字を組める時代。
でも、ほんの数十年前までは「写植(しゃしょく)」と呼ばれる、まるで工芸のような技術が当たり前でした。

 

 

写植とは「写真植字」の略で、専用の機械を使って文字を一文字ずつフィルムに焼き付ける技術のこと。
オペレーターは熟練の手で、文字の大きさ・位置・間隔を一つひとつ調整し、まさに“手仕事”で美しい紙面をつくっていました。
1ミリ以下の微調整も、ルーペと勘が頼り。組版はアートでした。

この業界に入ったばかりの頃は、先輩からはよく
「手をつかえ」と教えられたものです。

一方、いまの組版はDTP(デスクトップパブリッシング)が主流。
Adobe InDesignやIllustratorなどを使えば、リアルタイムでプレビューしながら文字を配置でき、Undo(やり直し)も自由自在。
自動で禁則処理や行揃えもやってくれるから、昔に比べてずっと効率的です。

でも、写植には「人の目と手が生み出す独特のリズムと間」がありました。
現代の組版も便利さに甘えすぎず、写植的な“気づかい”を取り入れることで、より丁寧なレイアウトができるのではないでしょうか。

デジタルのなかに“アナログの魂”を宿す。
そんな意識が、いま求められているのかもしれません。